粉体混合 · DEMシミュレーション
小粒子を増やすと粒度偏析が止まる
この研究の要点
鉛直加振した二成分粉体では,小粒子を過剰に加えると大粒子間に有効斥力が生まれ,粒度偏析が抑制されます.小粒子を増やすことで,大粒子どうしが集まらず,混ざった状態を保てる場合があります.
背景と問い
粒径の異なる粉体は,流動や振動によって成分ごとに分かれる粒度偏析を起こしやすく,製造や輸送で問題になります.小粒子を加えると偏析が悪化しそうですが,密な加振系の構造は組成に対して単調に変化するとは限りません.そこで,組成だけで混合状態を安定化できるかを調べました.
どのように調べたか
大小の摩擦粒子を平行壁の間に閉じ込め,鉛直振動を加える三次元の離散要素法(DEM)シミュレーションを行いました.両成分の充填率を系統的に変え,動径分布関数,構造因子,六回対称性から粒子配列を評価しました.さらに系の大きさ,粒径比,振動条件,粒径分布を変え,同じ傾向が保たれるかを確認しました.
主な結果
小粒子が少ない条件では大粒子が偏析しましたが,小粒子の割合を増やすと偏析が消え,大粒子間に有効斥力が現れました.粒径比が3の場合,大粒子は単成分系より低い充填率でも六角形状の規則配列をつくります.偏析を抑える効果は,検討した複数の条件でも確認できました.
この研究の意味
小粒子を十分に加えることで,大粒子を集めるのではなく互いに離しておけるという,直感に反する混合方法を示しました.非平衡系における構造形成として興味深いだけでなく,均一性が重要な化学,食品,医薬品分野で,混合物の組成を決める際の物理的な指針になり得ます.
キーワード
粒度偏析,粉体混合,DEMシミュレーション,有効相互作用,鉛直加振.
論文情報
, “Reducing segregation in vibrated binary-sized granular mixtures by excessive small particle introduction,” Granular Matter 27, 7 (2025).